#軽井沢から通勤するIT系会社員のブログ

2015年4月から軽井沢-東京で新幹線通勤中。遠距離通勤やテレワークの話題を中心に綴ります。軽井沢移住の裏話も。

県外ナンバーへの批判から考える、新型コロナウイルスとのもう一つの戦い

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(この記事を書いているときの筆者の心情のイメージ写真です)

 

 

専門家ではないので疫病のことについてはよくわからないし、素人は黙って家にこもるだけだと思う昨今。ただ、緊急事態宣言をめぐって気になっていることがあるので、その点について少し考えをまとめてみようと思う。

 

軽井沢を含む佐久地域は、新幹線に加え高速道路があることから、首都圏からの交流人口が多い自治体だ。

 

ただし最近は、新型コロナウイルスの感染拡大に繋がる警戒心から、「県外からの人間は来るな!」という声が大きくなっている。

 

日本政府だけでなく緊急事態宣言の出た首都圏の首長も繰り返しアナウンスしている通り、県外からの人間の交流は、物流業などインフラに関わる人の行き来を除いて、ゼロにしたほうがいい。

 

ただし、最近はTwitterなどで、県外の人間に対するヘイトスピーチと思われる発言などもあり、心が痛くなる時がある。県外ナンバーを見ただけで拒絶反応を起こすなどといった例である。

 

今回のブログでは、そのあたりについて自分の考えをまとめてみようと思う。

 

 

 

 

そもそも首都圏だけではなく、行政の促している行動制限に、何県民だろうと最大限の協力をすべきという話

 

長いサブタイトルになったが、この章で言いたいこと一つだけ。

みんな家に籠もれ。StayHomeしろ。

 

疫病の拡大を抑え、終息を目指すのであれば、緊急事態宣言が出ている自治体だろうとそうでなかろうと、インフラと医療に従事する人でない限りは、可能な限りの行動制限をすべき時期にある。

 

筆者は新幹線通勤をしているため、そのあたりの移動については、人一倍気をつかっていた。実際に、春節のタイミングである1月26日の段階で在宅勤務を会社に懇願していたメールがこちら。

 

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この際は即時希望が通らなかったが、会社もその後にシステムや組織体制などを徐々に整え、2月25日から全社員が在宅勤務することとなった。

 

なお、危機意識は相当高く持っていたため、会社の方針が出る前ではあったが、2月後半の時点でもう我慢するのをやめようと思い、自主的に有給を使う形で東京への通勤を自粛していたりもしていた。なので、最後に上京したのは、正確に言うと2月19日。

 

新型コロナウイルスとの戦いは団体戦だ。長野県において緊急事態宣言が発令されようが、されまいが、移動を控えておとなしくしているのが、いち市民として今できる最大限の社会貢献だと思っている。

 

 

県外ナンバーに対する批判ツイートは是か非か

 

ただし残念なことに、緊急事態宣言があってからというもの、軽井沢あるいは信州域外から観光目的で人が来訪することだけでなく、ラーメン屋などに車が停まっていて来訪しているように見えることすらも、そのコミュニティにとっての脅威と感じられるような状況になってしまった。事実確認がないのにも関わらずだ。

 

スーパーマーケットなどで、品川や練馬のナンバーがあることについて、マスコミが騒ぎ立て、TwitterなどのSNSで話題となり、住民の不安は煽られ、別荘族だったり、県外ナンバー保有者に対する差別を助長しているという構図がある。

 

特定のツイートや人名を挙げることはしないが、車のナンバーを晒し上げてTwitterなどのSNSで私刑に処するような事例が出ていて、とても悲しい。

 

その車のオーナーが、今(この記事を書いている4月13日時点)も首都圏に住んでいる人間で、気晴らしにドライブでもするかーと旅行に来ていて、マスクもつけずにスーパーマーケットでお土産を買っているのであれば、それは説教するに値するだろう。あるいは、緊急事態宣言が出ているにも関わらず、このタイミングで首都圏から別荘のある信州に移動して来たというのであれば、それもいかがなものかと指摘されるべき対象にはなるだろう(法的な拘束力はないので、あくまでいち市民としての責務を感じてください、というトーンではあるが)。

 

ただ、その車に乗っている人は、移住してこちらに長く生活しているだけの人かもしれない。あるいは、緊急事態宣言が出されるずっと前から別荘に来ていて、首都圏との往来を控えながら静かに滞在している人かもしれない。

 

軽井沢を含む佐久広域エリアは、そもそも高速道路で首都圏との往来が盛んな地域だ。別荘保有者に加えて移住者も近年多いので、そもそも県外ナンバーで生活している人も多い。実際に自分の周りにも、県外ナンバーの移住者は多いし、このブログの読者にもそういう人がいるかもしれない。

 

もしも、自分の友人や知人が、そのようなツイートで直接攻撃を受けていたら、とても悲しいし、ツイート主が誰であっても、抑えられない憤りを感じるだろう。そのツイート主に賛同したりしている人も同罪だ。何も事情を知らずに、表面的な車のナンバーだけでSNSで私刑に処されることなど、絶対にあってはならない。

 

 

人の交流を恐れる世界がやってくる

 

ここまではSNSでもよく見られる議論である。ただ、Twitterのような140文字での表現を強いられる世界では、軽井沢がどうとか、佐久がどうとか、そういった地域や個人の問題として提起されて終りになってしまう傾向があるため、せっかくブログを書くのでもう少し踏み込みたい。

 

というのは、視野を広く持つと、実はこの地域だけの問題ではなく、今後は人の交流を恐れ、世界全体で鎖国や非国際化が進むことの問題につながるからだ。これは県外プレートがどうこうという話ではなく、もっともっと大きな問題だ。

 

各国の感染者や死亡者の推移を見る限り、新型コロナウイルスの完全終息は不可能だ。ある国を封鎖すればその他の世界は安心といったシナリオはもう描けない。ワクチンや特効薬が開発されるのには時間がかかるし、それが世界中でいつでも手に入るようになるのは更に時間がかかる。

 

だから、何かしらの形で渡航制限が解除されたとしても、今後は人々が、自分のコミュニティの外から来た人間に対して危機感を持つようになる。ああ、あいつはウイルスを保菌しているかもしれないな、という具合に。

 

世界を見渡すと、いくらでも事例は見つかる。早い段階からアジア人は新型コロナウイルス差別の対象として槍玉に挙げられていた。日本人がヨーロッパに旅行すると、中国人と見分けがつかないことから、差別の対象になっていたことを忘れてはならない。これは、2月の段階ですでに問題になっていたことだ。

 

 

www.euronews.com

 

 

ここまで死者数が増えると、この感染症によって、家族、親戚、知人のいずれか亡くなっている人のほうが、そうでない人よりも多くなっている国や地域もあるかもしれない。そのような国や地域に旅行したら、どんな事が起きるだろうか。アジア人全員に対して、「あいつはコロナウイルスの元凶となった中国の奴だ」という差別や偏見が生まれているかもしれない。負の感情をコントロールすることは非常に難しい。

 

アジア系に対する差別だけではない。ヨーロッパの近隣国同士ですら、国境沿いで衝突が起きているらしい。普段は買い物に行くくらいの感覚だったり、通勤で毎日国境を超える人もおおいくらい、共生の道を歩んできたEU経済圏。そのような地域でも、人々の心の中では、すでに国と国との分断が始まっている。

 

車のナンバーだけで後ろ指を差されることと、このようなヘイトスピーチ、その根本は変わらない。新型コロナウイルスの恐怖心によって、社会は、人と人との交流を断絶するような世界に変わってしまうのだろうか。

 

 

感染リスクゼロがない社会で、何を選択してどう生きていくのかという難題

 

残念ではあるが、人が生きていく限り、この状況下で新型コロナウイルス感染リスクを完全にゼロにして生活することはできない。しばらくの間は、感染リスクを極力ゼロに近づける努力をしながら最低限の社会生活を維持していくことが当面の戦いになっていく。

 

新型コロナウイルスとはしばらく共存する社会になる。このウイルスが根絶されない世の中で、地域をまたいで移動してくる交流人口に対し、そのコミュニティの人々はどう対応するのだろうか。感染リスクを極力ゼロに近づける最大限の努力をして、不安な気持ちを認めながらも、科学を味方につけながら、信念を持って迎え入れることになるのだろうか。それとも、不安や恐怖心から、そのような人たちに対して差別や偏見の目を向けるような世界になってしまうのだろうか。

 

観光産業が地元の人の稼ぎの一角を担う軽井沢や、新幹線に加え高速道路がある佐久平は、この問題に信州で最初にぶち当たる地域だ。移動によって生まれる経済効果は大きい。県外ナンバーへの根拠のない批判は、ただのいちツイートや、井戸端会議レベルの話ではない。この、新型コロナウイルスによって世界が分断される現象 ------それはすでに世界各所で起こっていることでもあるが------ が、早い段階で表面化しただけなのではないだろうか。

 

繰り返しにはなるが、車のナンバー批判の是非を語ることは本質ではない。これは、もっと大きな問題だ。

 

新型コロナウイルスを正しく恐れること。これからの社会のあり方。答えは無い問いではあるが、少なくとも一つ言えることがある。

 

それは、根拠のない差別や偏見については、人類全体の共通課題として認識すべきだということで、これからの社会を生きる中で当面の間、一人ひとりが、自分の心の中で戦っていかなければいけない難題なのだ。

 

 

 

 

 

現場からは以上になります。

このブログ記事が、いつか誰かの役に立ちますように。

 

そして、遠方からの人々同士が交流することで笑顔が生まれる世界に戻る日が、いつか来ますように。

 

 

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このブログについて:とあるIT系企業に勤める会社員が、軽井沢から東京に新幹線通勤して、きちんと仕事がまわるのかを実験している記録です。新幹線通勤しようと思った背景はこちらの記事に書いています。

 

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